さて、当日私は昼食もそこそこにキャンパス内の一角の演説が行われているスペースへと駆けつけた。当局はこの運動を妨害するために"会計規定"に基づいた拡声器を使用する集会の禁止令を出していたが、彼らはそれにひるもことなく立派に演説していた。演説は自治会や文連のメンバーによって行われ、サークル部室配分権を奪い取る当局に対しての糾弾や、原子力発電所の再稼動への批判といった内容が中心であった。演説に合わせて周囲の関係者が「ヨシッ!」「ナンセンス!」などと合いの手を入れたり、太鼓を叩いたりして場を盛り上げたりしており、傍観者ながら私も非常に興奮した。
初雪が舞うほどに寒い中凍えながら演説に聞き入っていると、関係者が声を掛けてくれた。
「太鼓を叩いてみない?」
「え、いいんですか!やらせてください!」
もちろん私は二つ返事で了承。他の太鼓に合わせてリズムをとって演説を盛り上げる。まさに「太鼓持ち」である。もしいま当局が中止を命令しにきたら私も共犯(?)とみなされるかもしれない。しかし、そのスリルも学生運動の楽しさの一部である。私は妙な高揚感、一体感を覚えた。実際に身体を使って運動に参加するのは、ネットや新聞で社会情勢について読んだり考えたりするのよりも何倍も意義深いことに思えた。演説者は叫ぶ、
「君の人生に足りないのは学生運動なんだよ!」
異議ナシ!まさにその通りである。
演説が一通り終わると、我々は部室配分権を奪った当局に対する抗議文を提出するために反動と抑圧の牙城である管理棟へと向かった。道中で我々はシュプレヒコールを上げる。
\部室を奪うな!/
\看板壊すな!/
\弁償しろよ!/
\大飯を止めろ!/
\御用学者追放!/
\学費が高いぞ!/
\俺たちゃ貧乏!/
管理棟の受付に到着した我々は抗議文を提出した。しかし、なんと当局は受け取りを拒否したのであった。
「理由を言えや!」
「責任者出せ!」
「裁判にしてもいいんですか!」
我々は恫喝する。途中で反動学生が拡声器がうるさいといちゃもんをつけてくる一幕もあった。どうやら当局側の言い分によると、「非公認団体やそれに同調する学生からの抗議、要望は一切受け付けない」ということらしい。ナンセンス!まさに学生を無視した当局の独裁ではないか。私はいままで部室配分権の問題についてあまりよく考えたことがなかったが、抗議、要望を受け付けることすらぜずに一方的に物事を進めるやり方には強く憤りを感じた。残念ながら我が大学の当局は民主主義の敵対者である。
結局当局は最後まで抗議文の受け取りを拒否した。しかし、私はこうした抗議は続けていかなくてはならないと思う。こういう風にこちら側を一切無視する者を相手にする場合、とにかく目立つ方法で恫喝をしまくることが最も有効な手立てである。これは私の経験則上そうである。相手が本気で迷惑がるように、ひたすら根気よく恫喝する。そうすれば必ず相手が折れて、たとえ部分的にでもこちら側の要求を飲ませることができる。徹底した恫喝は共和国の外交ドクトリンでもある。交渉のキモは相手を大声で叩く恫喝力なのだ。
抗議文の提出には失敗したが、当局の集会禁止令をものともせず、白昼のキャンパス内で堂々と演説を行うことができたことは、我々の団結は当局の弾圧を打ち砕くことができるということをはっきりと示しており、闘争としては成功だったのではないだろうか。このような立派な闘争を行った東北大学学生自治会、サークル協議会、その他各大学の学生組織に心からのエールを送りたい。
日本の学生運動は1960年代にピークを迎え、その後は下火になっているといわれている。事実、私の周囲でも学生運動に対しては批判的、冷笑的な見方が圧倒的だ。しかしそんなことは関係ない。学生運動が人をひきつける魅力は今も昔も変わらないと感じた。その魅力は、団結である。団結は人を強くする。部室配分権の奪い取り、考えてみれば非常に理不尽な決定だ。しかし我々はそのことをほとんど問題視せず、ただ権力に盲従する。だが、我々は仲間と団結すれば声を上げることもできるのだ。こんなふうにして大声でシュプレヒコールを叫ぶなんて、一人では絶対にできない。しかし、こうして大勢で一緒にやればどんなことも恐ろしくはないと感じた。自分でも自分になぜこんなことができるのか驚いた。これが団結の力なのだ。団結は人々に力を与え、暴虐の鎖を断ち、そして共産主義の勝利へと人々を導いてくれるのだ。
P.S.
「東北大一日行動」についての記事が中核派の機関紙である「前進」のweb版に掲載されました。以下にリンクを貼ります。ちなみに、記事中の一枚目の写真には私も写っています。
東北大でサークル活動破壊に大反撃、キャンパスで全国学生集会打ち抜く
http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2012/11/post-1819.html
P.S.
「東北大一日行動」についての記事が中核派の機関紙である「前進」のweb版に掲載されました。以下にリンクを貼ります。ちなみに、記事中の一枚目の写真には私も写っています。
東北大でサークル活動破壊に大反撃、キャンパスで全国学生集会打ち抜く
http://www.zenshin-s.org/zenshin-s/sokuhou/2012/11/post-1819.html
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